最近好きな作曲家、Unsuk Chin

 原です。
 
 名前は10年以上前から知っている作曲家で、最近聴き始めややハマリ気味の作曲家が、Unsuk Chin(ウンスク・チン)という韓国の作曲家です。

 僕が大学の時に師事していたのは大村哲弥さんという作曲家です。
 その大村先生の師匠にあたる人が二人いて、一人は世界的にも有名なイサン・ユンという韓国の作曲家、もう一人もやはり同じ韓国のスキ・カンという人です。

 ウンスク・チンは、そのスキ・カンの弟子だったこともあり、学生時代に大村先生から話を聞いていました。
 「とんでもない作曲家がカン先生のところから出てきた」と。

 その当時は、へえ、という感じで話を聞いていただけでした。実際CDも出ていなかったですし、聴くチャンスもまったくなかったのです。

 ただ先生の話によると、ストラヴィンスキー、バルトーク以来、Boozey&Howkes(イギリスの世界でも有数の楽譜出版社)が終身契約を結んだ作曲家、ということでした。
 ちなみに終身契約というのは、生活の面倒、つまり金銭的なことなのでしょうが、それらを会社が全て引き受け、「あなたは作曲だけしてください」という契約です。
 ストラヴィンスキー、バルトーク以来というのにも驚きますが、しかもそれがアジアの片隅から出たのですから、凄いです。


 まあそういういわくつきの話を聞いていたので、名前は覚えていたのですが、ちょっと前にネットで検索してみたら、CDがでていたので(しかもドイツ・グラモフォン!)買って聴いてみたのです。

Unsuk Chin: Akrostichon-Wortspiel


 なんていうか、非常に衝撃を受けました。

 これは確実に新しい音楽だ、と感じました。使っている技術とかそういう問題だけではなく、その感覚を含んだ世界観全体にです。

 もちろんブーレーズ・リゲティなどの前衛を通過した音楽ではありますが、この音楽にはこれまでの現代音楽には見られない、ある種の爽やかさ、明るさのようなものがあります。

 テクチュアは非常に複雑で細かく、通常の音楽より解像度が高いような感じがするのですが、片方でアイデアや判断には非常な大胆さがあるので、聴いた印象としてはシンプルさを感じさせます。

 聴いていると一瞬一瞬に当たり前の音響が全くありません。常に人を驚かせるような何があります。
 これは驚異的なことです。

 この人はまず非常に耳が良いと思います。聴覚が普通の人とはちょっと違っているような気もします。
 それとその発想とイメージ。恐ろしく大胆な発想とイメージを持っています。

 聴いたことのないような解像度の高いテクスチュア、それらを結ぶ恐ろしく大胆な発想。

 僕は大きな刺激を受けました。聴いたことがない人で興味がある人は是非聴いてみては?

 それでは。
Akrostichon - Wortspiel / Xi / Fantasie Mecanique

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