ポップ・ミュージックのサビ

 原です。

 今までの仕事柄、ポップミュージックの世界の友達や音楽仲間が多いので、彼らが作った曲を世に出る前に聴かせてもらい、批評を求められることが、結構ある。
 僕はその際には、基本的になるべくニュートラルにジャッジするように心がけるが、最終的には難しい。
 やはり好みというのが入ってしまう。
 それを前提にした上で、僕は意見を彼らになるべく率直に伝えるようにする。


 ポップミュージックを聴く際、やはり僕が最も注意するポイントは、サビの出来だ。
 ポップミュージックにおいてはサビがとにかく重要だ。というか、それが全てだ、と言っても言い過ぎではない。
 刹那の表現としてのポップミュージックにおいては、その20秒程にに全てが込められていなければならないのだ。
 そこを絶対にごまかしてはいけない。そこをごまかした途端、ポップミュージックはその本質から離れ、なんだか分からないものになってしまう。
 その本質とは、最大公約数、ということかもしれない。


 ではポップスのサビにおいて、最も大事な要素とは何か?
 記憶できる、ということだろう。誰にでも、だ。

 ではどうやって記憶させるのか?
 それは反復という方法しかない。
 反復させなければ、最大公約数的に人に何かを記憶させるのは難しい。


 反復と一口に言っても、それにはありとあらゆる方法と単位が存在する。
 あるモティーフを繰り返す方法、ある4小節や8小節などの単位を繰り返す方法、ゼクエンツ(同じ音形を高さを変えて反復する方法)、音高は全く関連がなくリズムのみが反復される方法、ある一つ音を執拗に反復する方法、そしてこれらそれぞれの複合だ。

 例えば同じ方法でもテンポが違えば全くそれは意味が変わる場合もあるし、また変わらない場合もある。記憶のレヴェルも人によって大きく異なる。単純に方法化することはもちろんできるわけがない。
 しかしその中でも、これらの反復の手法をどのように組み合わせ、どのような記憶のさせ方を目指すのか、それが結局全てなのだ。


 少し外れるが、僕が一番作るのが難しいと思っているサビは、メロディックに伸びていきながら、非常に記憶しやすいサビだ。
 メロディックに伸びようとすれば、音楽は反復と反対の方向に行く場合が多いからだ。



 最後に、僕がサビを判断する際にいつも気にしているチェックポイントのようなものがある。

 それは、

 1 インパクトをどのように与えようとしているか。
 2 どのように記憶させようとしているか、つまりどのように反復されているか。
 3 音楽的な〈ひだ〉のようなものがどのように存在しているか。

 1、2は割と分かりやすいだろう。
 例えば1はサビの頭を最高音で始めるとかそういう方法が最もポピュラーなやり方だ。
 2は先に説明した。
 では3はというと、これは説明しにくい。簡単に言えば、インパクトを与え、記憶させるだけでは、音楽は下品になるということだ。またそういう音楽は本当には人の体に染込んではいかないのだ。
 言ってみれば3は、音楽的な綾を聴かせ、音楽をその人に定着させるくだり、と言ってもいいだろう。

 ちなみに、3がないポップスは多い。
 3を作るのは難しく、やや才能が必要かもしれない。
 そして3のない、ポップスは飽きるのが極端に早い。

 良いサビを作るのは、本当に難しいのだ・・・。


 それでは。
 

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