プラグインについて 〜その4 Sonnox、Slate Digital、IK Multimedia その他

 プラグインについてのその3で、今回は表題の3メーカーとその他について語る。


 これまでUAD、Wavesと重ねてきたが、今回はまずSonnoxを扱いたい。

 このメーカーの製品でまず挙げたいのは、Inflatorだ。
 まあ所謂よくある反則系のプラグイン、挿してツマミグッと上に上げるだけで何か良い感じ、というのの典型みたいな眉唾もののプラグインだが、意外と私は好きで結構使う。
 勿論使うときはそれなりに慎重に使う。慎重に使わないと、あっという間にそれまでの処理が台無しになることがあるからだ。
 それも何か、良くなった良くなった、と調子に乗って上げているから、気が付かないうちにトラックを壊してしまうような性質がある。
 まあ倍音を強制的に足すエキサイター系のプラグインなわけだが、あるラインを超えると、目鼻立ちがバキバキになっている裏で、ダイナミクスやニュアンス、立体感などが損なわれている。
 また目鼻立ちがバキバキなのに意外とあまり抜けないし嫌なピークが目立ち始める、みたいな感じにもなる。
 まあしかし、上手く使えば少し地味なトラック、バスを生き生きとさせることができる。
 まあ結構試して、最終的にスロットから消すということもよくある。

 あとはReverbだ。
 これは結構好きで、なんだかんだで一番好きなリヴァーブなのかもしれない。
 私はいつもリヴァーブを探している。もっと好きなのがないか?と。あまり出会えていないというか、自分の好みや、ひょっとしたら使い方がおかしいのかもしれない。
 ただこのSonnoxのリヴァーブの音質の癖というか感触というかそれらが、結構自分の肌に合うというのは事実だ。
 私は基本リヴァーブだけはプリセットベースで使うが、どんなプリセット使ってもどれもいいという感じだ。
 音がスムーズというか、耳にキツいところがどれもあまりなく、密度感もいい具合に濃密でサラリともしている、みたいな感じだ。
 ただこれらは非常に個人的な感覚かもしれないので、その点はあしからず。

 あとはLimiterか。それなりに使う。
 このリミッターは結構独特なリミッターで、中にInflatorの機能が入っていたりする。
 個人的には結構音が変わるリミッターだと思っていて、そういうのを望んでいる時に使う事がある。またパラメーターが多いので、リミッターによってあるテイストを入れたくて、時間をかけて追い込みたい時にいい。

 あとはTrans ModやDynamic EQ、SuprEsserなどがあるが、まあそれなりに使うが、SuprEsserはやや重いのが難点で、Dynamic EQはDPではステレオトラックでしか使えず、モノだと落ちるというバグがあり、私の環境ではWavesのF6にその座を譲ることになった。Trans Modはトランジェント処理をする時は、NIのTRANSIENT MASTERなどと使い分けつつ使うが、パラメーターが多いので、時間がある時に限られる。

 Sonnoxは持っているのが確かそんなものだが、独特なプラグインメーカーだとも思う。あまり敷居を低くしようという感じはなく、パラメーターが小難しく並ぶものが多いが、じっくり使って習熟するに足る品質のものが揃っているのは間違いないと思う。
 基本的には総じて余計なテイストが入り込まず、透明な処理というのが特徴であり、売りだろう。
 なんとなくこのメーカーの音というか、このメーカーの音の処理の印象、みたいなものがしっかりとあるメーカーだ。



 Slate Digitalは本当はここで取り上げるほど多くは製品を持ってないが、使用頻度が極めて高いので取り上げている。
 持っているのはVMRとその中の1176のオプション、そしてVCCだ。そしてVCCは意外とあまり使ってはおらず、VMRは非常に高い頻度で使っている。
 なぜVMRを使うのかというと、理由は簡単で、単純にVMRに付属の1073をほぼ全チャンネル立ち上げたいからだ。
 UADのところでも述べたが、私は1073が好きなのだ。だから基本的にはVMRの1073を立ち上げ、例えばボーカルなどのこれという5つくらいの重要なチャンネルにはUADの1073を立ち上げる、そういう感じでサミング的なことをし、なおかつ1073のEQとプリアンプでテイストを入れ、歪みをコントロールしたいのだ。
 本当はその目的でVCCを買ったのだが、何度か使ってみて、全体の音質がどうもあまり好きじゃなかったことで、最終的にあまり使わなくなってしまった。まあ機を見て、またトライしてみようとは思っている。

 VMRの1073は、当然というかUADには質的に劣るのだが、UADが全チャンネルに挿せない以上、仕方がない。
 ただ VMRの1073には利便性がある。
 一つはこのプラグインは非常に軽い。ほぼ全チャンネルに挿す訳だから軽さは非常に重要だ。
 もう一つは本来の1073はEQの周波数がクリック式のいくつかの固定なのだが、この1073は周波数がスイープで可動できることだ。
 当然エミュレーションとしては音質的に不完全なものになるのだろうが、それなりに1073の音質を持ったまま周波数が稼働できるのは利便性としては非常に良く、また歪みの質もそれなりには満足できるため、先程のように重要な5つほどのトラック、また特に他のプリアンプやEQが欲しいというトラック、それ以外はこの1073が刺さることになる。
 しかも痒いところに手が届くというか、Midのつまみが2つ用意されていて、全体で4バンドのEQとなっているのだ。これは正直便利でプラグインならではのものだと思うし、凄くいいと思う。

 なのである意味でこのプラグインは、私の作る音の上で極めて重要な要素を占めているのかもしれないが、それだけに他の方法も常に探しているのも事実だ。
 ある意味で今の自分の音の問題がこれの可能性もあるからだ。まあ分からない。良くなっている要因かもしれない。
 一つにはUADのコアを沢山購入して全チャンUADの1073というのや、UADの Neve 88RSなどのチャンネルストリップを全チャンに挿す、なども考えられるのだろうが…。

 まあこのメーカーの単にVMRに付属している1073だが、どうすれば1073現代的に使いやすいものになるかをよく考えていると思う。例えば1176にもそういう工夫が見られる。
 ただ馬鹿正直にエミュレートしているだけでは、正直UADには届かない可能性が高いし、届いたとしてもCPU的にキツいだろう。
 だからこういう工夫は非常に素晴らしいと思うし、後発メーカーならではなんだと思う。



 IKのプラグインはなんだかんだで物凄く沢山持っている。
 値段が安いのでなんとなく軽く見られている面もあるようなメーカーだが、思われているほどは、悪くない製品が多いように思っている。
 結構ハードウェアのエミュレートものは、IKを中心に使っていた時期があった。例えば1176やLA-2Aはかなり好きだったし、33609は他社があまり出していないものだったりした。1073も重かったが質は結構高かった。
 だがやはりそれらはUADの導入によって、すべて使わなくなってしまった。この分野ではどうしてもUADの優位性は高く、ちょっと仕方がない現象だったのだ。
 かなり似たことが、ギターアンプでも起こった。それまではAmplitubeがファーストチョイスだったのだが、 Amplitube はUADで購入したMarshallやAmpeg以外のアンプしか使うことはなくなった。
 まあ買い足したFenderは気に入っていて、Fenderが必要な時は使っているし、またUADは足元が足りないので、Amplitube内で足元を好きなものを使い、アンプやキャビ、マイクは通さずDIでアウトしてそこにUADのアンプを繋げる、みたいなことに使ってもいる。

 そんな風に述べてはきたが、マスタリングのプラグインでは使用頻度が非常に高い。

 432というSontecのエミュレーションはほぼ間違いなく使う。透明で、ほぼ2ミックスに悪い影響を与えずに処理できる。

 Stelth Limiterも使う頻度が高いプラグインだ。
 曲によっては飽和するというか、音が崩れる時があるのだが、いい時は殆どイメージを変えずにかなり突っ込める。今のところ、どういう曲だと合う、と言う事が理解できていないのが歯痒いところだが、何しろ使える曲には非常に使えているのは間違いない。

 Meteringというメータープラグインが少し前に出たが、これも非常に使い勝手のいいものだ。必要なあらゆる要素が計測できるし、視認性も素晴らしい上、カスタマイズもかなりできる。配信時代にはこういうタイプのツールは必要なのは間違いない。

 ただこれらのプラグインは皆重い。まあマスタリング用なので、気にせずに重く作ってるのだろうが、もう少し軽くなるといいのだが。これは時代が解決するのだろうか。

 IKは基本的にはいいメーカーだと思う。
 ハードウェアのエミュレーションも質が高い上に、値段が非常に安い。また安く買えるようにするシステムも色々用意してもいる。
 音源の分野やハードウェアも含め、ドンドン伸びているメーカーでもあり、これからが楽しみでもある。
 Tracksのヴァージョンが5になって、DP10と少しバッティングしたが、それ以外では動作でも問題があったことはなかった。UADによって使用頻度が減ったが、愛着のようなものはなくはない。



 そしてここからはその他のメーカーで割と使うものを紹介していきたい。

 まずはOverloudのRematrixとBreverbだ。どちらもリヴァーブだが、結構気に入って使ってきている。
 Rematrixはコンボリューションもので、動作は重いが、リアルで存在感がある響きが得られる上、特徴的なのはホールやプレート、ルームなど違う種類のリヴァーブを混ぜて使えるところだ。よって独特な個性を持った響きのするプリセットも多く、またプリセットも多数オプションで販売している。私も少し買い足して使っている。
 Breverbはデジタルリヴァーブのいわゆるシミュレーションものだが、動作は非常に軽く、その上響きにも意外と濃さがあるので、トラックに挿してしまう用途やドラムからのセンドバスなどに結構よく使っている。


 D16の製品もよく使うが、その中でもDECIMORT2はかなり使う頻度が高い。
 基本的にはビットやサンプレートをクラッシュさせるいわゆるローファイプラグインだが、歪みも付加でき、また普通にフィルターとしても使い勝手がいい。MIDIラーンが装備されているので、ツマミ系のMIDIデバイスを持っているならばガンガンリアルタイムで操作して書き込んでいける。
 なんだかんだで非常に使いどころの多い、ツボを押さえている非常にいいプラグインだ。


 あとはSugar BytesのWOWか。
 ものすごく頻度が高いわけではないが、飛び道具的なフィルターエフェクトで、クラブ、エレクトロニクス系は当然ながら、特に生楽器系のものやヴォーカルなどにも使える場面もある。
 特に最近のSerumのようなタイプのシンセだとこれ系のフィルターは備えているが、そうでもないシンセでは重宝するかもしれない。



 まあざっというとこんなところだ。取り扱うのを忘れた製品もあるかもしれないが、それらはまた気づいた時にでも書こうと思う。まあ需要があるのかな…、この文章そもそも。
 まあ4回に渡って自分のよく使うプラグインについて書いてきたが、読んでいただけて参考にしてくれたら大変うれしいです。


 私はDAWを始めた最初の何年かはDP付属のプラグインだけで作業していた。
 まあその頃は完パケ納品を求められる仕事はあるにはあったが、まだまだスタジオでミックスするというのが当たり前の時代だったのだ。
 しかしその頃のミックスを聴くと意外と健闘しているなと感じる。まあ音量とかは多少小さいというのはあるのだが、DP付属のEQやコンプ、プリアンプ、リヴァーブ、リミッター、ディレイなど一つ一つに習熟し、よく理解し、それなりに上手く使いこなしていた面もあったのだ。

 私は意外とそういうことは大事だと思っていて、前回も書いたかもしれないが、その機材を自分なりに愛して理解し、使いこなす、というのはある意味では機材に相対す上で最も重要で、またスピードと個性を自分にもたらすだろう。
 またさらにその後自分にとってこういう音、こういう処理ができるプラグインが欲しいな、という具体的な欲求も芽生えたのも、その経験があったからだろう。


 WAVES的なバカチョンタイプのプラグインももちろん便利だし、最近のAIがあるプラグインも便利だが、自分の機材を使うベースや音の好みみたいなものが築かれていないままそれらばかりを使っていけば、いつしか人と同じ音しか作れなくなってしまうのではないかとも思う。
 逆にそういうこと影響しない便利系はどんどん使えばいいのだと思う。まあでも影響しない、ということは結局ないのかな…。
 難しいところだ、その辺のスタンスは。自分もバランスを考えながらどんどん新しいものは使ってはいきたい。

 まあ個人的に、1073が好きだとか、1176がとにかく好きとかそういうことは、自分にとって不可欠だし、今後もそういうもの、ある種の音に対するフェティシズムが自分を作っていくんだろう。
 この音が好きだ、ということに最終的には理屈は結局ない。だからみんなすこしずつそれが違う。
 その違いを自分に集積させていくことは楽しいことだし、いつしかそれが「あれは~の音だよね」って言われるようになったらそれって凄いことだよな。


 長々とありがとうございます。あまりにも読む人が狭いようにも思われるので、少しの間機材ではないことを書くかもです。
 それでは。

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